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キツネの親子

自宅から5分ほど歩けば大きな河原に出ます。川沿いを歩けば四季の草花、虫や鳥、野良猫といろんな生き物に会い、時にはイタチやヌートリアなんかとばったり出くわすこともあります。ある日、今までに見たことのない動物の姿を草むらで見つけ、目を凝らしてみるとキツネだということに気づきました。側には2匹の小さな姿もあり、慌ててスマホを向けるも草むらの中に消えていきました。奥には深い竹林や森が広がっていて、もう会うことはないだろうとあきらめました。 

 それから2年程月日がたち、河原は整備が進み、竹林や森、草むらが黄色い重機でどんどんと削られ、緑が土色に変わり、そこには整備された遊歩道や公園が作られようとしていました。失われた緑を目にしながらさすがにあのキツネの親子はいなくなっただろう、運が良ければどこか違う場所で生きていてくれたらなとぼんやりと思っていました。それが先日、いつものように河原を歩いていると突然目の前に見覚えのある茶色の姿が現れました。一瞬でしたが、あの時に見たキツネに違いないと確信しました。再び会うことができたうれしさと同時に工事の車や人がすぐ側まで迫ってきているこんな場所で大丈夫なのかと心配になりました。キツネは用心深く人里離れた場所に住む動物だそうで、今のこの状況は追い詰められたかなり危機的な状況なんだろうと思い暗い気分にもなりました。エンジン音を唸らせながらまっすぐに延びたコンクリート道を整備していく重機と立派な公園建設記念碑を横にして、ここに遊歩道や公園は本当に必要だったんだろうかと憤りを感じました。

 写真は現在の河原の様子です。残された緑の中にキツネの親子はいるのでしょうか…      H